大人に贈る絵本(外国)

ニコライ・ポポフ

なぜ あらそうの ?
     ニコライ・ポポフ(著)
     BL出版

白い花に満足しているカエル。
そこに地中から傘を持ったネズミ。
咲いている花を蹴散らして地中から飛び出してきたくせに
カエルの花を欲しがるネズミ。
ネズミは、カエルからその花を奪う。
そして、争いが始まる。
それぞれの仲間が集まり攻撃し合う。
カエル軍とネズミ軍の戦車は、人間の古靴だ。
(前にニュースで、戦争で亡くなった人達の靴を並べて悼んでいるシーンを
見たことがある。描かれている古靴を見て、それを思い出した)

この絵本を手に取った方々は、最初に
この絵本の最後をある程度想像したのではないだろうか。
「最初に花を奪われたから、最後はきっと花いっぱいなんだろうな」とか。

表紙のカエルはとても優し気な表情をしている。
争いを続けるカエルとネズミの “目” は、キレイだ。
この “目” は、ポポフさんの何かの意図なのか。

ラストでは、
ネズミがカエルを窺い、カエルはネズミの傘(破れている)をさしている。

この絵本には、文字がありません。
文字はありませんが、「戦争について」読んでみてください。


ニコライ・ポポフ(NIKOLAI POPOV)
  1938年 ロシア・サラトフ生まれ
  1975年 「ロビンソン・クルーソー」の挿絵でBIB世界絵本原画展グランプリ受賞
  1996年 「なぜ あらそうの?」でベルギー児童図書評論賞受賞

  1995年に出版された「なぜ あらそうの?」。
  原題は「WHY ?」です。
  ニコライ・ポポフさんは、幼い頃にドイツ軍の爆撃を受けました。
  自身が暮らす小さな町は、その攻撃により、廃墟と化しました。
  何もかもが「無」となりました。
  どうしてこの「本」をつくったのかを「作者のことば」で語っています。
   「子どもだけでなく、大人にも争うことの愚かさをもう一度考えてほしい。
    子どもたちに戦争が何の意味もないこと、
    人はくだらない争いの輪の中に簡単に巻き込まれてしまうことを知ってほしい。
    この本を読んだ子どもたちが、将来、平和のために何かできるかもしれません」
   

    
    












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